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「ひゃんっ・・・あっ・・・」
久谷の指があたしの蕾をはじいた。もうあたしはそれだけで昇りつめてしまいそうだった。でも久谷はその行為を執拗に続ける。

「いやぁっ・・・だめっ・・・あぁぁぁぁ!だめぇっ!」

かさっ・・・わずかにビニールを破る音が聞こえる。もう逆らえない。だってあたしの体はこんなにも期待して震えてるから。

くちゅ・・・
「すげぇとろとろ」
くすりと目の前の久谷が笑いながらあたしのナカをえぐる。
「やぁ・・あぁん!あぁぁ・・・せんせ,やっ,あぁぁんんっ!!」
久谷がどんどん奥におしつけてくる。もうそれだけでまた達してしまいそうで,ぎゅっとしがみついた。
エッチのときも,こんな笑い方するんだ,なんて場違いなことをちょっと考えた。
・・・キモチイイ・・・
久谷の手があたしの胸をなでた。下半身の激しい律動とはちがう,じらすような緩慢な動き。
「はぁ!・・センセ・・・もっと,あぁぁん!やぁっ,あっ!!」
不意にあたしの胸の突起に快感がはしる。
「あああぁぁぁっ・・・!!」

同時にあたしの意識はブラック・アウトした。
正確には,ホワイト・アウト,かな・・・。

目がさめたとき,あたしは元通りキチンと制服を着て,油くさい美術準備室のソファーに寝てた。足の間のひんやりとした気持ち悪さがあの行為が現実だったことを主張してる。

「旭?目,覚めたか?」
ぼんやりとしていると,突然久谷があらわれた。やっぱり口の端を少しだけあげたあの笑いをうかべて。

久谷先生はあたしの高校の美術教師だ。すらっとした体に整った顔立ちで,恵まれた容姿なのは誰もが認めるんだけど,細いフレームのメガネに近寄りがたい寡黙な雰囲気を漂わせて,必要以上に生徒と関わらない彼は,あたしたちからはちょっと遠い存在だった。隠れファン,みたいなのはいるみたいだけど。

あたしはといえば,この中堅私立女子校に幼稚園から通い続けた,この学校ではありふれた高校生。世間的にはお嬢様って呼ぶ人もいるけど,お父さんはただの銀行員。稼ぎはそりゃ中よりは上かもしれないけど,フツーの家だし,3人兄妹だし,親の見栄と努力でここまでお嬢さん学園に通ってこれたんだ。美術部なわけでも,興味があるわけでもない,イマドキのフツーな高校生。

そんなあたしたちがこんな関係になったのは,あたしが3ヶ月前に提出の遅れた美術の課題をもっていったときがハジマリだった。

美術準備室は西向きの部屋で,放課後のその部屋は真っ赤に染められてた。窓の横のデスクには久谷が画集を枕にうたた寝してた。ノックしても返事のない部屋に黙って入っちゃったものの,どう起こせばいいか困ってたうちに気づいちゃったんだ・・・。メガネをはずした久谷のカオ。西日に輪郭を彩られた,キレイなカオ。カオに添えられたキレイな指先。広い肩。・・・カラダ。カオ・・・カラダ・・・眩暈がした。

こんなこと初めてだった。久谷の寝姿全身から漂う色香に完全に中てられてしまった・・・あぁ・・・ヤバイかもしれない。

何がヤバイかなんてわかんなかった。でも,ココロの奥の,今まで知らなかった部分がぎゅってにぎられたような,そんな。


センセ?あれは罠?甘く美しすぎる・・・そして何よりもせつなすぎる・・・




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